今回は、「IT 初心者で、いち早くこの状況から脱したいけど、どこから手をつけたらよいかわからない方」向けに、「資格を活用して、その状況を突破する方法」をお伝えします。
資格は必要なのか?
ぶっちゃけます。IT 業界でエンジニアとして生きていくのに、資格は必要ないです(少なくとも、私の尊敬する先輩方は、面白いほど何の資格も持っていませんでした)。
下手に手を出して、勉強の目的を見失ってしまい、ムダに労力を投下し続けてしまうと、そもそも勉強しない方がよかったということにもなりかねません。
私は、何度か、そんな失敗をしてきました。
しかし、うまくいったこともあります。中でも、最もうまくいったのが「IT ど素人の状況を突き抜けるために、資格を活用できた」ことです。
勝因は、資格の勉強をし、資格を取得したことで、「最短で、技術者として仕事を任され、業務で実践経験を積むことができた」ことに加え、「そこで得られた知見やノウハウを、うまくマッピングできた」ことです。
簡単に、紹介していきます。
業務で実践するのが最強
とにかく、いち早くど素人の状況を脱するためには、業務で実践し、経験を積むのが最強です。理由は、3 つあります。
- 投下できる時間が圧倒的に長い
- 相談できる人がいる
- 適度な緊張感がある
① 投下できる時間が圧倒的に長いのは、すぐにわかると思います。自分で、リソースを購入する必要もないので、コスト面でもメリットがあります。
② わからないことを相談できる人がいるのは、かなり大きいです。解決策をいっしょに考えてもらえます。ヒントをもらえることもあります。本当に行き詰まってしまったら、やり方を教えてもらえることもあるでしょう。特に、思考の整理、プログラムの修正なんかを目の前でやってみせてくれると、めちゃめちゃ勉強になります。
③ 適度な緊張感がある(※)ことも重要です。仕事の場合、「誰かに価値を提供する」ということを意識しやすいです。そのために、品質や期限を意識する必要があります。自分ひとりでは、投げだしそうなことにも、継続し、粘り強く取り組めるからです。
※ もっとも、極度の緊張感が常にあるという方は、どうにかして、そのプロジェクト、チームからうまく脱出してほしいです。本当に、メンタル壊します
実践できる環境づくり
とすれば、組織内やプロジェクト内で、いかに、より自分がやりたい仕事にアサインされる(仕事をゲットする)可能性を上げていく(※)か、これが重要です。
ここで資格が活きます。資格には、「短期間で、体系的、網羅的に知識を増やすことができる」という特徴があるからです。
「資格をとったこと + 資格により得た知識」を発信していくと、「あいつ、なんかできそうじゃん?」ってなります。
さらに、資格の勉強をすることで、対象領域全体のマップができます。業務にアサイン後、実践経験によって得られた知見やノウハウをマッピングしていけるため、対象となる領域について、より早く広く深く身につけられるようになります。
※ もちろん、自分がやりたいことばかりが仕事になるわけではありません。組織で動いている限り、当然です。上司、プロジェクトマネージャ、チームリーダは、より高度な意思決定をしています。基本的に、指示には従わなければなりません(本当にその指示でよいのか議論したり、このようにしたらよいのではないかと提案するのは、よいと思います)
資格活用の具体例
最後に、私が「資格」の力を使って、プロジェクトに「技術者」としてアサインされたときの話を 2 つさせてください。
私は、入社してから、情報セキュリティに関する仕事(といっても、ほとんど何もできませんでしたが)をしていました。入社 2 年目の下期(10 月)に異動があって、そこで「初めて」システム開発のプロジェクトにアサインされました。
やはり、何も拾えませんでした。なんとかできたのが、テスターでした。テストケースに従って、ひたすらテストをしていました。リーダに「いつまでに、どこまでケースをつぶせばよいか」と聞いたところ、「なるはや(なるべく早く)」と言われました。
こんな状況でしたが、入社 2 年目後半 ~ 3 年目で、エンジニアっぽい立ち位置を確立し、より技術に近い仕事が降ってくるようになりました。
ネットワーク
入社 2 年目の秋の情報処理技術者試験で、テクニカルエンジニア ネットワーク(今でいう、ネットワークスペシャリスト)に合格しました。12 月の合格発表後、「システム開発のことは何もわからないけど、何かできるよ」感を出しました。
はっきり言って、試験勉強のほとんどが、ネットワークに関する用語の暗記でした。それでも、「自分はネットワークの知識あるぜ」感は出せました。例えば、ネットワーク構成について議論しているときに(ネットワーク構成図の内容はぜんぜんわかりませんでしたが)、ループっぽくなっているところを見つけて、「ココ、STP(スパニングツリープロトコル)って有効になっていますか?」みたいにつぶやいたりしていました。
上記テスターが終わった後のプロジェクトでは、人手不足だったこともあり、ネットワークまわりの窓口(構築は、他ベンダさんが行っていました)を任せてもらいました。さらに、他のミドルウェアの環境構築・管理まで任せてもらいました。
Linux/UNIX
一定の Linux の知識を証明する有名な資格に、LPIC(Linux Professional Institute Certification)があります(※)。一番初歩のレベル 1 であっても、Linux のコマンド(オプションを含む)、フォルダ、設定ファイルの内容など、けっこう暗記しないと合格できません。知識はいっきに増えました。また、入社 1 年目に、お家で Linux をさわっていたことがあったため、ほんのちょっとですが経験らしきものもありました。
するとなんと、「Linux に明るいやつ」という立ち位置になってしまいました(これはこれでどうかと思いますが)。
こちらのプロジェクトも、人手不足だったこともあり、複数の UNIX の管理(シェルスクリプトの作成を含む)を任せてもらえました。さらに、となりのプロジェクトのトラブル対応などもやらせてもらいました。
※ 今なら LinuC の方がよいと思います
まとめ
このエントリでは、IT 初心者が、資格を活用して、初心者の状況を突破する方法をお伝えしました。
- IT 業界でエンジニアとして生きていくのに、資格は不要。しかし、初心者の状況をいち早く抜けるためには、資格が活用できる
- 資格をとることで、短期間で、体系的、網羅的に知識を増やせる
- そのため、より自分がやりたい領域で仕事がもらえる可能性が上がる
- 仕事がもらえると、たくさんの実践経験を積むことができる
- また、資格の勉強により、当該領域の全体像が見えるため、得られた知見やノウハウを、より早く広く深く身につけることができる
ぜひ、試してみてください。